一つの仕事の完了には、多くの人が関わります。機会を持ち込む人、問題を解く人、最後まで仕上げる人もいます。評価の段階で「誰の貢献が大きいか」だけが残ると、それぞれが自分の見方を主張する議論になりがちです。
私は、まず何が起きたかを記録したいと思います。評価について意見が違っても、同じ出来事に戻って確かめられることが必要です。
1. 点数を急がず、まず出来事を記録する
出発点は、識別できる一つの出来事です。課題、期間、参加者の役割、成果物、他者と共同で行った仕事を分けて記録します。
事実には資料の所在と出所を付けます。議事録、納品記録、サービスへの意見、システムログは判断を助けますが、それぞれが示すのは一部です。ある人の記録が見つからないだけで、貢献がなかったとは判断できません。
出来事の番号と個人の参加記録番号を分けます。一つの出来事に複数人が関わり、一人が複数の出来事に関わる場合もあります。全体の成果は一度だけ参照し、各人の行為は個別に記録して、全員がチーム全体の成果を自分のものとして重複計上することを防ぎます。
2. 事実、評価、再確認を分ける
事実欄には照合できる行為と結果、評価欄にはどの規則と観点で判断したか、再確認欄には確認内容、採用した意見、残る相違を記します。
三つを「優秀な働きだった」の一言にまとめてはいけません。「優秀」は判断なので、比較範囲、指標の定義、裏付け資料が必要です。評価者も、自分の役割、当該事項との関係、回避が必要になり得る利害関係を明記します。
資料の受領は、文書が手元にあることを示すだけです。事実を照合しても、評価が十分とは限りません。評価結果から賞与、株式、その他の権利が自動的に生じることもなく、権限と適用される取り決めを別途確認します。
3. 六つの観点で問い、万能の点数を前提にしない
役割、貢献、時間、責任、リスク、戦略的価値の六つの観点から見ます。ただし、すべての記録に六つの数字を付ける必要はありません。
役割では合意した職務、貢献では実際の行為と結果、時間では投入と継続性、責任では引受内容と履行状況、リスクでは実際に負担した範囲、戦略的価値では明確にされた組織目標との関係を見ます。
同じ出来事でも、販売前の調整とその後の保守では観察期間が異なる場合があります。一方が数えやすく、もう一方が今は数値化しにくいからといって、後者をゼロにしてはいけません。資料不足は補足待ちとし、基準が適用できない場合は理由を示します。
重みを設定するなら、目的、適用する役割と期間、根拠、決定権限を事前に示します。共通の基準がなければ、観点別の意見を残し、精密な計算式を作り上げないようにします。
4. 本人が自分に関する判断を確認できるようにする
記録後は閲覧権限に従い、関係する参加者に本人に関する事実、評価根拠、再確認の窓口を示します。他者の個人情報、営業秘密、制限付き資料は、適切な抜粋や管理された閲覧で扱い、原資料のすべてを公開しません。
本人が事実を確認したことは、すべての評価への同意ではありません。「事実の誤り」「証拠の追加」「基準への異議」「適用結果への異議」などを分けて残します。
返信がないことも、自動的な同意として扱ってはいけません。期限超過、連絡不能、延長が必要な場合は事前合意の手順に従い、実際の通知と対応を記録します。
5. 架空の記録例
以下の出来事と役割はすべて架空で、記録方法だけを示します。
出来事EV01は、模擬研修の資料整理です。役割Aが初稿を提出し、Bが引用を確認して出所の不一致を二か所見つけ、Cが現場での使用状況を報告します。最終資料は三人の共同成果であり、完成した成果全体を三回数えてはいけません。
記録R01にはBの照合可能な関与だけを記します。合意した期間内に確認表を提出し、二か所の引用問題と対応案を示した、という内容です。証拠E01は確認表、E02は修正版の対応箇所です。二つの資料は、問題の指摘と対応する修正を裏付けますが、品質改善のすべてがBによるものだと単独で証明するものではありません。
評価意見は「今回の確認は資料の正確性に役立った。ただし投入時間と長期的影響については記録が不足している」と書けます。本人が確認し、一か所はAも共同で発見したので、共同参加を追記すべきだと申し出たとします。
再確認担当者は記録を照合して説明を修正し、元の意見、補足資料、修正理由を残します。なお確定できない部分は補足待ちとし、一つの点数で争点を一度に解決することは求めません。
この記録には、賞与、重み、権利の予定はありません。例が示すのは、事実と評価が明確になり、共同参加を追加できることです。
6. 異議を別の経路で扱う
異議には記録番号、同意できない内容、理由、提供できる資料を記します。事実訂正、資料不足、規則の解釈、権限に基づく決定のどれに当たるかを判断して、適切な担当者に引き継ぎます。
元の評価者は説明できますが、自身の利益や明白な対立が関わる場合に、一人で最終確認まで行うのは適切ではありません。回避、再確認権限、その先の処理方法は、適用される組織の取り決めで事前に明確にします。
再確認の結果には、維持、修正、補足後の再検討、権限者への移管があります。理由と範囲を示して関係者へ通知します。「処理済み」だけを残し、実際の変更が分からない状態にしてはいけません。
7. 修正後は参照先も確認する
元の評価が業績の協議、インセンティブ審査、その他の決定に使われていたら、再確認結果を該当する工程へ送ります。記録の修正で、その先の決定まで自動変更されるわけではなく、適切な権限と手順が必要です。
過去の意見は追跡できる形で残し、現在使う版を明示します。長期にわたり記録しにくい貢献、二重計上を生む指標、自分の評価根拠を閲覧しにくい役割を定期的に見直し、記録方法を調整します。
役立つ貢献表とは、何が起き、評価がどう生まれ、異なる意見をどう示せばよいかが分かるものです。組織が評価を検証可能にする助けであり、すべての貢献を客観的に測定できると主張するものではありません。