事業と組織 · 事業と富
事業と富 · 事業と組織
短章 14 件
《俗世の規則:金、権力、名声》 金、権力、名声を道具と見るとき、それぞれどんな役割を担うか?
金は俗世の道具であり、生まれるときに持参せず、死ぬときに持ち去れない協働の道具だ
権力は統治の道具であり、支配力とその範囲に影響する管理の道具だ
名声は評判の道具であり、社会の各階層を行き来できる扉を開く鍵だ
周敦頤が『通書・順化第十一』で「ゆえに天下の人々の根本は一人にある」と述べるように、俗世は複雑ではなく、すべて人間性に帰着できると悟れる。人間性とは「権勢、金銭、物質」であり、俗世の凡人はそこから離れにくい。だから人間性を十分に理解し、受け入れる必要がある。
《職業人生の四つの段階》 職業上の発展段階が変わると、蓄えるべき能力はどう変わるか?
技能の段階
誰でも仕事を始めた初期には、基本的に技能の段階にいる。ここでの技能は広い意味で、特定の専門技術だけではなく、営業、人事、財務も含む。この段階では自分自身が道具として、技能を持つ人として、その技能と引き換えに報酬を得る。技能が向上し成熟するにつれ、横方向と縦方向への拡張も経験する。横方向とは核心となる技能を豊かにすることだ。たとえば編集者がデザインを学ぶと、美術編集者になる。縦方向とは、仕事の前後の工程へ担当を広げることだ。たとえば新しいメディアの仕事で、書くだけでなく広めることもできるようになる。技能の段階では、敏感に学びを好み、前進し、技能を豊かにし続ける必要がある。中心となる専門技能は際立たせ、同時に管理の知識を学び、管理能力と素養を高め続ける。確かな技能と管理の思考を持ってこそ、次の管理の段階へ進める。
管理の段階
確かな技能と管理の思考があれば、管理層に入るのは必然だ。問われるのは自分の実行力ではなく、チームの実行力を組織する能力である。この段階では業界会議や協力企業の管理者など、外との接点を増やすことに気を配る。外との接触は資源を蓄える重要な手段であり、知り合う人が多いほど初期の資源も豊かになる。長い時間をかけて熟成し蓄積すると、資源の段階へ進む。
資源の段階
人間関係と資源の違いは、関係には維持が必要だが、資源には不要なことだ。それは自分の価値が十分大きいか、相手の資源となれるかによって決まる。自分の価値は資源の交換と維持の重要な手段である。資源を熟成し蓄える目的は、資金調達力を高め続けることだ。その力を持てば、資本の段階に入る。
資本の段階
資本は商業の最上層であり、経済の最上層でもある。企業の成否を決め、絶え間ない資金注入は事業が初歩的な発展期を越えて成熟期へ進むのを助ける。シード資金から始まり、エンジェル、ベンチャー、プライベートエクイティ、IPO上場まで、資本を運用し続ける必要がある。この段階では投融資の知識と経験を常に伸ばす。資本を使って自分を発展させた後は、一連の投資によって資本を拡大し続ける。投資で最も重視するのは人だ。結果を制御できるものが投資、できないものが賭博である。制御できるかどうかは資金調達者への判断にかかっており、調べるのは技能、管理、資源という三つの段階である。
《交わる人々》 事業が前進するとき、接する人や学ぶ相手も変わっているか?
事業で飛躍したければ
交わる人々を絶えず変えなければならない
普通の経営者は悟る力により
熟練した経営者は交友の輪により
一流中の一流は「師匠」による
普通の人は人を見ても噂を聞き、良し悪しは他人の口の中にある!
《規律と服従》 発展段階の異なる企業では、規律、服従、献身をどう捉えるべきか?
企業には大企業と小企業がある。つまり、規律型の企業と遊撃型の企業だ。小企業には規律はなく、あるのは服従だけ。深夜二時の会議にも全員が来られる。生活こそ事業であり、事業こそ生活である。事業を成し遂げることを人生最大の喜びとする。
《人を生かす》 チームで互いを理解できないとき、本当に同じ立場に立っているか?
なぜ幹部は経営者を支えきれないのか?
人柄が悪い、感謝を知らない、忠実でない、経営者を理解しない、大局観がない……それらは表面にすぎず、奥の核心は、経営者と「身内」になっていないことだ。
「身内」の本質は「仲間」である
「仲間」の本質は「同じ立場」である
言い換えれば、企業経営の奥の秘密は、中核社員と経営者を同じ立場にし、仲間にし、身内にすることだ。
《案件を立てる》 仕事を前に、新規案件、追加案件、転換案件をどう分けるか?
新規:新たに立てる案件
追加:追加する案件
転換:転換する案件
《会議の前に、誰が必要かを問う》 全員が集まり話し終えても、なぜ仕事が進まないのか?
問題が起きると会議は便利だ。人を呼び、もう一度話すと、前進した気になる。しかし必要なのが一つの確認、引き継ぎ、資料なら、全員がいても待つ人を増やすだけかもしれない。
会議前に、誰が情報を出し、誰が決め、誰が実行するかを考える。少数に関わることは、その人たちで細部を話し切る。全員が知るべき変化は適切な方法で共有する。人数は問題の関係者で決まり、会場の大きさで重要性を証明する必要はない。
会議では一つの詰まりを進めたい。資料不足なら何がないか、相違ならどこかを明確にし、決められることは残す。後で関係者が次の行動と未定の条件を知るようにする。展望を繰り返すだけでは、これらの動作に代われないことが多い。
小会議も自動的に効率的ではない。参加者に情報や権限がなければ空回りする。全員の共通理解が必要な仕事には十分な対話を設ける。重要なのは会議の任務だ。協働する人を実際につなぐほうが、全員に同じ言葉を聞かせるより役立つ。
《実行を催促する前に、組織が何を与えたかを見る》 仕事が動かないとき、社員の積極性を高めるだけでよいか?
仕事が進まないと「実行力不足」と言われやすい。圧力は実行者へ移るが、本人は何を先にし、どんな結果が必要で、不足をどこに探すかも不明かもしれない。緊張が増しても、元の問題は残る。
まず組織が仕事を明確にしたかを点検したい。方向は一致し、仕事同士に衝突はなく、資料と支援はそろったか。前の穴を埋める人、他部署の確認を待つ人は、見た目は未完でも理由がまったく違いうる。
不慣れな仕事では研修と共同実践も、組織が提供すべき条件だ。早く習熟を求めるなら、参考資料と問題報告の方法を知らせる。それを補ってから結果を見てこそ、能力不足、方法の不明確さ、連携不良を分けやすい。
条件が明確になれば、個人も実行責任を担う。この二つは両立する。組織は明確な支援を出し、実行者は正直な反応と結果を返す。一言の評価で細部を覆わず、動かない理由を分解してこそ具体的な解決法が見つかる。
《採用は、自分たちの準備を試すことでもある》 新人の成果が悪いとき、人選の誤りと組織の準備不足をどう分けるか?
欠員があり仕事が多いと、新人にすぐ問題を引き受けてほしくなる。しかし入ってみると職責が曖昧、資料が見つからず、引き継ぎもなければ、その後の不振は能力不足か、始める条件がなかったのか判断しにくい。
採用前に、最初の段階で何を担ってもらうかを考えたい。独力で解決できる人と、学ぶ意欲があり育成が必要な人では、組織の支援が違う。職名が同じでも実際の要求は大きく違い、「能力が高い」の一言では代われない。
新人を見るには学ぶ速さ、問い、実際の成果を見られる。同時に説明は明確か、応答は早いかも見る。範囲の明確な仕事を終えてもらうほうが、会話の印象で全能力を評価するより根拠がある。不足は具体的に伝えてこそ、改善可能かを見続けられる。
経験が必須の役割もあり、すべての不足を研修で解けるわけではない。しかし育成するなら必要な時間と協力を予定に含める。人選と準備を一緒にすれば、双方ともどんな協働に入るかが明確になる。職務も、そこに加わる人も、真剣に扱う価値がある。
《事業の方向を変える前に、使える蓄積を棚卸しする》 魅力的な機会が、今のチームの参入に適するかをどう判断するか?
新方向を見ると、その市場の大きさを語り、今のチームで何を使えるかを忘れやすい。他人がすでにできることも、私たちは学習、人探し、工程づくりから始めるかもしれない。同じ方向でも起点が違えば、参入後に担う仕事も違う。
まず既存の蓄積を棚卸ししたい。需要判断に使える経験、すぐ提供できる能力、継続利用できる顧客や協力関係は何か。つながれば現実の土台があるが、大半が使えなければ能力を再構築する時間を真剣に見る必要がある。
ずっと馴染みのことだけをする意味ではない。古い蓄積が変化に合わず、新能力を積極的に学ぶ必要もある。範囲の明確な仕事をまず選び、差を具体的に見る。足りない人、方法、理解を出してこそ、参入計画は興奮した判断以上になる。
機会を借りながら、自分の基礎も築き続ける。蓄積を生かして素早く始める道も、時間をかけ未知へ入る道も、適する時がある。自分がどちらを選ぶかを知り、相応に準備することが肝心だ。他人の到達点だけを見るより、起点を考えるほうが着実になる。
《苦情を待たず、工程を見る》 日常の連絡は順調でも、なぜ管理者は問題が拡大してから知るのか?
二人が連絡し続けても、管理者が進捗を知るとは限らない。順調なときは手間が省けるが、一つの工程が止まり、問題がその二人の間だけに残ると、外の人は苦情で初めて接続不良を知るかもしれない。
管理には重要な過程の可視性が必要だと思う。進行中、完了、確認待ち、異常の箇所を適切に記録し報告する。関係者が同じ基本情報を持ってこそ、拡大前に支援でき、その場の聞き回りだけに頼らずに済む。
記録も実際の必要に沿うべきだ。納品と連携に関わる情報を残し、誰が更新し、読み、どう処理するかを知る。資料が増えても次の判断を助けなければ、報告は余計な負担になる。完全に見える報告より、本当の詰まりを一つ早く見つけるほうが役立つ。
管理者は全会話へ介入する必要はなく、実行者にも通常の裁量が要る。しかし重要な異常は私的な連絡だけにとどめてはいけない。見えるべき部分を日常工程へつなぐ。苦情後の処理も必要だが、拡大前に発見できるよう段取りを組むことも大切だ。
《組織の効率の土台》 組織が有効に動くには、どんな条件の連携が必要か?
組織の効率は、目標、分担、規則、信頼の連携から生まれる。
《個人の能力をチームの能力にする》 事業が広がった後、能力を個人からチームへ移し、受け継ぐには?
事業が大きいほど、個人の能力を継承できる制度とチームの能力に変える必要がある。
《沈黙は全員の署名に代われない》 誰も異論を言えないなら、何を根拠に合意ができたとするのか?
反対が聞こえないことは、ときに反対の代償が高すぎることしか示さない。
ある仕組みの中で、評価、機会、資源を握る人の言葉ほど頷かれやすい。その場で反論しないのは賛成かもしれず、未整理か、言っても無駄と思うからかもしれない。最も安心できる解釈だけを選び、合意と呼んではいけない。
実際に協働が必要な場では、疑問を出すことと実行を妨げることを分ける。決定前には異論を最後まで話してもらい、決定後には採用理由、残る相違、再確認の条件を記す。明確な職責は果たすべきだが、履行を、心の判断すべてが私と同じだと解釈する必要はない。
反対の記録を残したいのは、判断が体面より長く生きる必要があるからだ。私のいるときだけ賛同される合意は、共通理解からまだ遠い。